Amazon VideoでPremiers Crus(ブルゴーニュで会いましょう)を観ました。Prime会員なら今無料です!
こちらが予告編(予告編はフランス語で、une bande-annonce)。



映画データ

基礎データ

タイトル:Premiers crus
原題Premiers crusとは、「一等級のワイン」的な意味だと思いますが、「ブルゴーニュで会いましょう」という邦題はだいぶかけ離れていますよね。確かに直訳のタイトルでは日本ではあまり売れる気はしませんね。邦題に関しては個人的な意見ですが、「ブルゴーニュ」を入れたまでは良かったような気がするのですが、「会いましょう」には違和感を感じます。普通に「ブルゴーニュのワイン畑」とか単に「ブルゴーニュ」でも良かった気が。普通すぎてダサいでしょうか?

発表:2015年

監督:Jérôme Le Maire(ジェローム・ル・メール)
2作目の監督作品。イケメン。

俳優

Gérard Lanvin(ジェラルド・ランヴァン)
どうしようもない親父フランソワ役。超いい味出してます。

Jalil Lespert(ジャリル・レスペール)
その息子シャルリー。映画Yves Saint Laurentの監督。今作が久々の俳優業。

Alice Tangaloni(アリス・タンガローニ)
ヒロインのブランシュ。フランス映画傑作のLe dîner de consの監督、Francis Veberの別のコメディー映画、La Doublureで観ました。このモデル級美人女優がすっぴんで映画に出ることは珍しいらしく、自身の今後のキャリアを広げていく一歩にもなったそうです。

Laura Smet(ローラ・スメット)
シャルリーの妹。Jalil LespertのYves Saint Laurentで、Loulou de la Falaise役で登場。

Lannick Gautry(ラニック・ゴートリー)
畑の心強い従業員マルコ。阿部寛に似ている気が。

Stéphane Caillard(ステファン・カイヤール)
最初の方に出てくる秘書セシール。ちょい役なのですが超かわいいです(笑)。

感想(ネタバレ注意)

この映画は一見、特になんてことのない普通な映画です。観る人によってはつまらないとさえ感じるかもしれません。コメディーの要素も一切なく、特に予想外のことが起きるわけでもないので大してドラマチックでもなく、官能的な場面が多いわけでもなく、アクションがあるわけでもなく。それでも僕は好きな映画です。

世界的なワインの産地、ブルゴーニュを舞台してワインのあるシャトーのドラマが描かれているのですが、まずその田舎の情景が美しいです。ワイン畑、ワインを醸造するシャトー、そこに降り注ぐ太陽、雨、土、空気。そしてそこに生きる人たちの人間模様。その一つ一つが美しく描かれています。

特に妻や子供達の手伝いに恵まれず、不器用ながら1人でワイン畑を長い間守ってきた親父(François)とその息子で、3K職場であるワイン畑を嫌い(臭くはないかな?)、パリでワイン評論家として名を成すもワイン畑の危機を救うために畑に戻ってきたCharlieの関係の描写は、浮き沈みのある難しい父と息子の関係をリアルな感じで描いていて、とてもおもしろかったです。自分が特にここが印象に残っているというのは、僕自身と父親の関係に重ねてしまうからかもしれません。

映画を観た後で知ったことですが、監督Jérôme Le Maireの映画の目的はまさにここにあったようです。ワインの産地として有名なブルゴーニュですが、意外にもあまり映画の舞台になったことはないそうで、自身が長い間暮らしていたその土地を描きたいというのが、この映画の出発点だったようです。(ブルゴーニュ出身ではないとのこと。)

そのブルゴーニュというのは、パリの右下(南東)の方にある地方名です。ここのワイン農家の気質というのは割と閉鎖的で、よそ者に対する警戒心があるものの、一度打ち解けるとおもてなしが手厚いというのが特徴なようです。ここも映画によく描かれているのではないでしょうか。